俺は何が正しいのか・・・わからないままに、
反射的に女の一撃によって倒れた教会の男を剣で庇った。

女は何の武器も持たず・・・ただその細い腕と指先の爪だけで、俺の干将・莫耶を抑え込む。
その腕力は男の俺ですら、簡単に押し返せないほどの重量を感じさせた。
涼しい顔をして女は俺に告げる。
「・・・あなたも私の相手をしてくれる・・・という訳ね。いいわ、一緒に吹き飛ばしてあげる。」

朱い瞳を持つ金の髪の女と俺との斬り合いが始まった。
恐ろしいまでの腕力で、女は俺めがけて爪を降ろす。その一撃一撃からはすさまじい衝撃の振動が肌に伝わってくる。
俺はその爪を何度も避け、剣を女にめがけて打ち込む。
だが、俺の剣は女に軽くいなされるばかりだった。

そんなことを繰り返していき、剣を打ち込んだのは何度目だろうか?
「アルクェイドッ!!!」
若い青年の声が響き、俺の前に躍り出る。
その青年は青い制服・・・青く透き通った瞳をしていた。
「志貴!!!」
女がその青年に嬉しそうに応える。
どうやら、女の名前は『アルクェイド』青年の名前は『志貴』と呼ぶらしい。
短刀を逆手に構え、女を庇う格好でこちらをにらんでいた。
どう見ても・・・青年は女を守っているように見える。
その澄み切った瞳に俺はわずかばかりの不快感とそして疑問を感じた。

女は確か吸血鬼のはずで、この目の前の青年は・・・人間に見える・・・のだが・・・。
「・・・青い・・・あぁ、志貴って名前なんだなお前は。お前は・・・人間なのか?」
「・・・・・・・・・・・・」
やはり、応えない・・・か。
この青年もグールのように吸血鬼の仲間に成りはててしまった憐れな人間なんだな、とその時は思った。
だが・・・、
「志貴は人間よ、あなたと同じ」
横で女の声が響いた。どうやら、この青年と俺との睨み合いを傍観しているらしかった。

構わず、俺は改めて青年に尋ねる。
「何故、お前は吸血鬼を庇っているんだ?」
人間なのに、吸血鬼を庇うなんておかしいじゃないか。


「・・・・・・手を、引いてくれないか?おまえには理解できないかもしれないけれど、アルクェイドは決して人を襲ったりはしない。おまえ達が追っている死徒とは違うんだ。」
青年の声は、月の光にそうように、静かに響き渡る。

どう違うのかが、吸血鬼をよく知らない俺には理解できなかった。
魔術師としての俺は、むしろ、この青年はこの吸血鬼に魅せられ、使い魔として動かされているようにも見えた。魔術の中には、視線だけで相手を魅了して思いのままに操る類のものもある・・・と遠坂から聞いたことがあったから。
まぁ、見ているだけで男なら、目の前の男の表情は吸血鬼に恋しているとわかるのだろうが・・・。

それに、この青年の目を見ていると、何だか無性に苛立つものを感じた。
何故かはわからない・・・
いや、本能的な勘が俺にささやいていたのだろう。
この目の前の男は危険だ!、何か俺の知らない力を隠している。
その力は自分と同じようでいて、全く性質が真逆の・・・だから気をつけろ、と。


吸血鬼に操られている・・・そう判断した俺は、青年の声に構わず、剣を繰り出した。
青年も諦めた表情で俺の剣を切り返す。
その一閃に何か危険なものを感じた俺は、その瞬間に後ろに飛びずさった。
驚くべきことに、その短剣からはそれほど力を感じなかったはずなのに、干将・莫耶はバターを切り刻むように切り裂かれ、砕け散った。
再び、干将・莫耶を投影し青年に向かって構え直すと、剣が再生したことに対して、むこうも驚いたようだったので、実はおあいこなのだろうが・・・





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