―ジッ!―「この世界は一体?」――――
「先日の君か・・・。ここ・・・?ここはSE.RA.PHだ。Serial Phantasm・・・通称SE.RA.PH。この世界の名前だよ。」
―――――「まだ、この世界がうまく認識できない。」―――
「実を言うと、私もこの世界のことは理解しているとは言い難い。ただ、「何故か」わかることもある。
だから、その範囲で・・・君に答えていこう。」
無意識に答えてみて、とっさに自分の言葉を反芻する。
今、ここがSE.RA.PHと、自分は答えたが・・・はたして自分はそのことを知っていたのだろうか?
今までとは全く違うこの世界に自分も放りこまれて、戸惑うばかりだったが・・・本当に自分はわからないのだろうか?
否、未経験とはいえサーヴァントとしての感覚がこの世界のことを知らせていた。
ここは聖杯の中に似ている。
今までの戦いでは、戦いに敗れたサーヴァントの魂は、一旦聖杯となるべき器の中に収容された後に英霊の座に帰される。
この世界もまた今までの聖杯とは形が違っていても、その本質は同じである。
ただ、何も知らない憐れなサーヴァントが次の戦いに役立てるように、
この新たなこの青い聖杯は何らかの方法で、私に・・・目の前のノイズ・・・人間とのやりとりを介して、
この世界での必要な知識を理解させようというのか!?
そのことに気づいた瞬間、自分の感覚にも伝わってきた。
この広大な青い海の中に自分と同じく契約を待つサーヴァントの魂の存在を・・・
「むぅ、・・・50? 100? いやもっとだ。もっと多数の・・・」
―――――「アーチャー?」―――――
「接続が安定してきたようだな。君はこちらの質問にすぐに答えることなく、
シャットダウンしてしまったが。そもそも・・・君がなぜここに接続できているのか、
ちょっとした謎だな。」
一度認識すれば理解は早い、自分の感覚から浮き出してくる情報を認識し整理するように努める。
この新たな聖杯の正体も気にならないことはないが、まずはその意図を徹底的に推測してみる。
「君はひょっとして名の知れたハッカーかなにかか?」
ノイズだった声ははっきりと形を成してゆき、蜃気楼のような影すら出来ている。
声の主の姿が男なのか女なのか・・・ハッキリとはわからないが、
今の冗談に恥ずかしそうなそれでいて誇らしそうな表情を浮かべているのが伺えた。
「いや、技術だけで成し得ることではない。体質か、あるいは聖杯そのものがそちらに
経路を開いたはずだ。」
そう・・・この聖杯の目的は、自分とこの声の持ち主とを会わせることで・・・この世界を私に理解させることなのだろう。
そしてただ話しをさせるだけでは終わるまい。ゆくゆくは・・・契・・・・・・
――――ブゥゥン!!!―――――。
今までとなんら変わることはない。違うのは、自分が再現された場所がこの青い世界だ、、、という訳か。
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