それからだ、物思いにふけりつつも私がそのノイズを探すようになったのは。

毎日、といってもどれくらいで一日がたったのか判断する術はないのだが、

私はこの世界でのほんのささいなその変化を心待ちにするようになった。

この世界は一体何なのだろうか?

ここに来たのはついさっきのような気もするし、ずっと昔からここにいたような気もする。

英霊にとって、以前戦った記憶は残されない。

あらゆる世界に呼び出されるサーヴァントにとって、呼び出された先で得た記憶は膨大な量に上り、

その一つ一つの記憶を全体に埋没しないように留めておくことは難しいからだ。

よって、戦うことによって起きた事実、つまり記録だけが蓄積されて、必要な時には取り出せるようになってある。

ここは、、、俺が今まで何度も呼び出されてきた世界のどれにも該当しない。



―――ジッ!――――ジジッ!――――ジジッ!――――

またこのノイズかっ!

いやまて、この気配は・・・「そこにいるのは誰だ?」

―――ジッ!――――ジーー!――――「そっちこそだれだ?」―

「これは・・・ノイズ…ではないな。・・・人の声か?だがうまく聞き取れない。」

―ジーー!―――「聞こえるかー!」――――――

「……………………、(私の存在がわかるのか?)。」

――――――ジジッ!―――――――――。

「私の声が聞こえるかっ?!私に用があるのなら、すまないが、またここに来てくれないか?」

気の遠くなるような間隔でやって来た、ノイズと供に響き渡る人の声に俺は安堵した。




 それから暫くの後、この奇妙な声とのやりとりが始まるようになっていった。

―ジジッ!―「お前の名前は?」―

「・・・人に誇れるだけの名前はあいにくなくてね。アーチャー、と呼んでくれればいい。」

―ジッ!―「何者?なんだ?」―

「私はマスターとの契約を待つ、ひとりの英霊に過ぎない。と言ってもなんのことかわからんか・・・」

―ジジッジジッジジッ!――――

「・・・声だけとは言え、君はいったいどうやってここにこれたんだ?」

――「自分にもよく分からないが、ここにいた。これは夢じゃないのか?」――

「この世界をうまく認識できていない・・・レム睡眠状態での無意識接続・・・・・・・・・か?。
君は、一体どうやってここへアクセスしたんだ・・・?」

ジジッ!――――ブゥゥン!!!―――――。

「肝心なことを聞こうとすると、すぐに落ちてしまう。長い時間、接続することはできないようだな・・・。」



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