それから、真祖の姫君とそれを守る青い騎士、二人が去っていって・・・残された俺と教会の男は町に巣くっていた死徒探しを続けていたが・・・いつの間にか、いなくなっていたようだった。
多分、あの二人が死徒を倒してくれていたのだろう。
今回は俺も正義の味方どころか、彼らの足を引っ張っていることに後から気づかされた。
町の人の感謝は、俺と教会の男に捧げられたが、本当はあの二人がもらうべきはずのものだ。
礼をいう機会がまたくればいいんだが・・・。



そう言えば、遠坂には話さなかったけれど・・・、去り際にあの吸血鬼が俺に残していった言葉が、実は俺は気になってならなかった。

月光の中をそれはまるで幻想のように・・・
「そう、・・・・・・あなた、阿頼耶(アラヤ)に呼ばれているのね。本当はここであなたを殺してもいいんだけど・・・きっとそれは志貴も止めるでしょね。だから・・・」
真祖の姫は俺に向かって、確かにそうつぶやいて消えていった。

言っている意味は俺にはわからなかった。・・・もしかしたら俺はわかりたくなかったのかもしれない。その言葉の意味を理解して、後悔する日が後でくるんだが・・・その時の俺は、まだそのことを知らなかった。





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