約束
イスカンダル&ウェイバー Zeroが終了後、ウェイバーが自分の人生を終えた後の話です。
Zeroの原作にて、イスカンダルの宝具とイスカンダルがウェイバーの前から去った場面を読んだ後でご覧ください
気がつけば辺りは黄金色の砂漠と胸の奥から熱くなりそうな灼熱の太陽が見えた。
そして周囲は大勢のひと、ひと、人
それも全員が英雄だった。
どうやら僕はこの軍勢の先頭に立っているらしかった。
ここはどこだ? 僕は一体何をしていたんだっけか?
おぼろげな記憶をたどりながら、あたりを見回すとすぐ目の前に赤毛の巨漢の男が男に見劣りしないぐらいの荒々しい体格の馬にまたがり、前方をにらんでいる。
以前どこかで会ったことがあったような・・・?
男は、また自分ではない新しい主人に召還され、懲りもせずに闘っているらしく、どうやらこの熱い心象結界を使う為に自分達を呼び出したらしい。
自分も・・・?
そうだった、いつだったろうか遙か遠い昔に、僕はあの貪欲な王を僕(しもべ)として自分の劣等感を覆す為に召還しておきながら、いつの間にか魅せられて「臣下にして欲しい」と願い出ていたような覚えがある。
王は僕に生き様を見せた後で世界に引き戻され、僕はあの王の生きた証を語り継いでいたはずだった。
僕が自分の生き様に満足した後で、人として終わるはずだったろうに、僕は王によって世界に招かれた。
どうやら僕は本当にあの王の臣下になれたらしい。
王が振り返り、僕を見つける。
「久しぶりだな、坊主」
「お前、何やってんだよ。また世界征服か?」
「おうよ、世界の果てまで奪いに行くのが我が信条であろう。それとも、世の臣下として生を謳歌するのは不満か?」
「嫌なら、ここにはいないだろう?」
約束どおり、イスカンダルは僕を臣下にしてくれた。
僕はあの馬鹿野郎の心象風景の一部、英雄の一人として、これからもあの王と共に夢を見るのだろう。