「ひゅぅ〜カミカゼか? お嬢ちゃんの専売特許だな。」
バーサーカーのマスター、紫髪のお嬢ちゃんの胸の奥にすさまじい魔力が渦巻き出す。
あれだけの魔力なら、暴発すればこの決闘場もたたではすむまい。
だが、こんな絶望的な戦況はオレにはいつものことだった。
生前の戦争中にも母国を守る為に自爆まがいのことをした人間も少なくない。
必要なのはそれに逃げ出さずに、どこまで自分の出来ることをするかだ・・・。
戦場ではオレが最後に残るのが常だが、怯えを全く見せないマスターの態度もなかなかのものだ。
お互い似たもの同士なのだから当然なのかもしれないが。
一つだけ残念なのは、あの紫髪のお嬢ちゃんが自分のサーヴァントをかえりみようとしなかったことだろうか?

「何いってんのよ。あっちがああなら、こっちも全力だすわよ。」
「おうよ」
マスター リン の号令がかかる。
オレのゲイボルクであの紫髪のお嬢ちゃんの暴発寸前の魔力炉たる心臓を穿ちぬく。
問題はそれをバーサーカーが素直にやらせてくれるかだが・・・。

どぉおぉん!!!
緊迫した状況の中で、突如盛大な着地音が鳴り響いた。

思わずその方向に視線を向けると見えたのは・・・アーチャーとそのマスターだった。
ほぉ〜、なかなかやるじゃないか。
やつはお節介にもよくよく余計なことに口を挟みたがる野郎だが・・・この聖杯戦争では、サーヴァントとそのマスターは似たもの同士である。
アーチャーが来たということはそのマスターもまた・・・。

この状況を考えると・・・・むしろちょうどいい。
アーチャーとそのマスターを眺めながら…オレは事態の収拾を頭に浮かべてみる。
さて、どうしようかね・・・この面子で、戦況を覆し・・・マスターを無事に守る算段は・・・となると?。
自分が無傷でバーサーカーとあの紫髪のお嬢ちゃんを止められればいい。
だが、万一の時は・・・
オレのマスターをアーチャーのマスターに・・・託す。

今までの経験上、あらゆる最悪の事態が頭に浮かび、それに対する自分の覚悟はいつでも出来ているが・・・

オレと腐れ縁となったあの野郎のマスター。
てっきり、アーチャーにお守りされているだけかと思っていたが・・・なかなかどうしていい根性してやがる。
もしかしたら・・・もしかするかもな・・・

予断を許さぬ戦況を、飄々とした態度を崩さず、悠然とオレは戦況を眺めていく。
何故なら、これがオレの求めた戦いの戦慄なのだから・・・。






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