自嘲しつつ、俺はマスターの間合いに入り込む。



マスターの剣がこちらに振りぬかれたが、剣の柄際なので傷は浅くてすむ。
傷に構わず、俺はマスターの両腕を掴み、持ち上げながら横に引き倒す。
重心を崩されたマスターは、姿勢を立て直すことが出来ずに…床に倒れこみ、寝転んだまま剣をこちらに薙ごうとする。
だが、柔よく剛を制す。マスターが持つ剣の柄から、俺は持ち手を絡めとるように捻り、剣を手放させる。

そして、マスターが…次の剣を投影しようとする…その前に…
俺は自分の着ていた外套を脱ぎ、それでマスターを包み縛りこんでいった。

「ああっぁぁぁっ!」
そこで初めてマスター…、いやムーンセルのウィルスからの悲鳴が響いた!

……予想した通りだった。
俺の赤原礼装は外界からの守り。
故に、これで外界たるSE.RA.PHからマスターを遮断しそのエネルギー供給を止めれば……稼動する為のエネルギーを枯渇させることができるかもしれないと推測したことが、どうやら当たったようだ。
ウィルス自体は未だにマスターの中に留まっていて消滅させることは出来ないが、少なくともマスターの動きは止めることが出来る。

マスターは抵抗するように身をよじらせていたが、マスターに新たなエネルギー供給のない今、魔力の残り少ない俺の力でも十分に抑え込める。
俺はマスターを抱きしめながら、その動きを優しく縛っていく。


これでマスターの動きを抑えることは無事に成功させることが出来た。
それを当たり前と信じて疑わない凛の声が響く。
「アーチャー、よくやったわ。そのまま抑えていてね。」

凛はマスターに近づくと、額をあわせて目を閉じ、呪文を唱えていく。
最初は苦しそうに呻いていたマスターの身動きが次第に弱まり…、ついにマスターは静かに眠りについた。



                        続き    戻る

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル