あきれ顔で近寄るアーチャーを気にせず、剣に見(魅)入る。構えた剣を下ろし、持ち手の部分を片手でしっかり握りしめ、剣をぶら下げる格好で、その刀身をのぞき込む。
「本当に綺麗。まるで、アーチャーの目みたい・・・」
吸い込まれるように美しい銀色の・・・その鋭さを確かめたくて・・・・・・鏡のような輝きを放つ刃に、ふと指を、なぞらせた。
軽く触れるだけで、ぞくりとした感覚が体を走った。
その刃の鋭さがまるでアーチャーの強さそのものに感じられ、恐ろしさよりも頼もしいとさえ思えた。
その金属質の刃の硬さ強さを指でなぞり、その感触を味わった後、刃から指を離そうとその指を引いたその瞬間・・・
「っ・・・あ・・・ぅ、・・・・・・やっちゃった。」
なぞらせた指から紅い滴がこぼれ落ちた。
どうやら刃の向きと平行に指を引いてしまったことが良くなかったらしい。
研ぎ澄まされた刃の切れ味がいいせいか、痛みは感じなかったけれど・・・。
アーチャーの方を見て苦笑しつつ、笑顔でごまかす。
アーチャーは少し驚いた表情をした後、何の重さを感じないかのように私から片手で剣を奪い・・・・・・・・・・・・体を屈めて、私がアーチャーの顔が近づきすぎ?・・・と感じた次の瞬間、他方の手で紅い滴の垂れる指をその口に含んだ。



「・・・・・・アーチャー」
軽く甘噛みをされた口中の指に、アーチャーの・・・舌が・・・優しく傷を撫でる。痛みは、ない…むしろその感触は暖かく・・・・・・心地よく、丁寧に優しく・・・・・・傷の上を往復する。
溶けるように透き通ったアーチャーの銀色の瞳はまっすぐに私の指を見つめている。その瞳がさっきの剣と同じ美しさを放っているように見えて・・・いつの間にか、その瞳に私も吸い込まれる。
「くすぐったいよぅ、アーチャー」
心地よさとこそばゆい感触に身をよじりながら、アーチャーに呼びかける。
その呼びかけに応えるように、微笑みながらアーチャーは愛撫を続けた。
気持ちよかったのでされるがままにアーチャーに任せていると、アーチャーの舌はしばらく軽く吸い上げ指をなぞり、・・・そしてくわえた指から口を離した後で、再びその舌で滴を舐めほし、最後に指と指のまたをなで上げてから、指を・・・放した。

「これで血は止まったな。マスターの身に何かあったら大変だからな・・・」
アーチャーが身を離した途端に、周囲の景色の色が薄く透き通っていく。
「アーチャー!?、固有結界を解いちゃ駄目じゃない!」
「休憩は終わりだ、マスター。無駄に魔力を消費すれば、アリーナに差しつかえる。マスターには悪いが・・・今ので、消費した分は補わさせてもらったよ。まだ足りないが、これ以上の贅沢を言っても君も困るだろう?。」
「アーチャー?それって、どういう意味?」
「・・・・・・いや、何でもない。気にしないでくれ、マスター。いつもからかったいい方をして悪かったが、今回は、休憩は終わり・・・そのままの意味だよ。」
ふと、アーチャーが不自然に顔をそむけ隠したような気がしたが、そんなことよりもこの世界が消えてなくなってしまうことの方が残念で、アーチャーの様子のおかしさを忘れてしまった。

 いつもどおりの風景、マイルームに変わったことを残念に思い、紅い世界の残像を名残惜しむ。
再び見たアーチャーの顔もまたいつもの鉄仮面と変わらなかったことを、いえ…変わっていたことに私が気づかなかっただけかもしれないその僅かな変化を、確認して…いつものようにアリーナ出発の私の合図を待つアーチャーに、私はささやいた。
「アーチャーは自分の世界を何もない、剣だけの世界だって言っていたけど・・・私はアーチャーの剣、とても綺麗で大好きよ。アーチャーのことも・・・・・・」
振り向いたアーチャーのいつもなら自信たっぷりの皮肉屋の表情が、一瞬とまどいの色を浮かべたことを見逃さなかった私は、アーチャーの次の言葉を待ったが・・・
「・・・・・・・・・・・・、君がまだ・・・、休息が足りないというのなら休んでいるといい。アリーナに行くというのなら・・・俺を呼んでくれ」とだけ言い残し、背中を向けて消えていってしまった。

 一人取り残された、マイルームを眺めながら、私はせっかくの楽しい休憩が本当に終わってしまったことを残念に想った。
あのアーチャーのことだ、その性格からして返答はないと諦めていたけれど・・・思えばあれが返事だったのだろうか?
あの後で、アーチャーがこちらに視線をさまよわせながら・・・
「マスター・・・・・・、ムーンセルよりも…君の方が、優先順位が高くなってしまった。」
といってくるなんて。



                          

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル